オタク娘ヒガハラによる『幻想楽団 Sound Horizon』の話題がメインなブログ。 他、谷山浩子さんや漫画の話なども少々。
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SHの特徴のひとつとして、リスナーが内容を考察をするというものがあります。なぜ、そのような盛り上がり方ができるのか。それは、
・物語のわかりやすさと共有制
・チラリズム精神との関連性
の二つに起因していると思います。

 わかりやすさと共有制、とはいったいどういうことかについて、歌詞を追いながらあらすじを確認していきましょう。

Ark(以下、『』内の歌詞は全てArk(Elysion 楽園幻想物語組曲に収録)より抜粋)

『「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ 救いを求める貴女にArkを与えよう」』
と、救いを求めていた「妹」は『Arkと呼ばれるもの』=ナイフを与えられます。
ナイフを手にした「妹」は
『「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」』と「兄」に詰め寄ります。

『信じていた人に裏切られ』、『信仰という狂気』の楽園に逃げ込んだ「妹」
最期に「兄」の脳裏に廻ったのは『歪な愛の記憶』。「妹」に対して『脆弱な精神が堪えきれず あの日嘘を吐いた』のです。

結果として、『被験体#1096 通称『妹』(Soror)』は『同じく 被験体#1076 通称『兄』(Frater)を殺害』し、それは『<症例番号12>過剰投影型依存における袋小路の模型、即ち《虚妄型箱舟依存症候群》(Ark)』と診断されます。

その様子を見ていた「監視卿」は『天を仰ぎ深い溜息を吐』きます。
そして『ふと彼が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと 嗚呼…いつの間にか少女の背後には『仮面の男』が立っていた』のでありました。

これが、Arkの一連の流れです。Arkが報われなかった兄と妹の、愛の果ての物語であることは、登場人物から推測することができます。また、「さぁ、楽園へ帰りましょう(還りましょう?)、お兄様」という台詞が2度繰り返し入ります。「楽園」=Elysionのキーワード、「お兄様」=Arkが兄と妹の話である。この二点が、サビの直後に狂気的な笑い声とともに入ることによって、Arkの印象を決定付けています。

この時点で、聴く人の間に、Arkという曲の、ざっくりとしたベースが共有されます。
しかし、ベースを共有していても、その細部は受け取り手によって大きく変わります。
・Arkの兄妹はどのような施設にいたのか
・なぜ、兄は妹を裏切ったのか
・監視卿とはどんな人物なのか
・なぜ監視卿には左手の薬指がないのか
今挙げた、歌詞から読み取れない不明な点はほんの一部です。歌詞からわからない部分……想像によって補われる部分があることによって、そこに、聞き手それぞれのArk像が生まれます。しかし、あらすじそのものは共有しているので、他人の想像・考察は自分にとって理解しやすく「それもありだな」と思えるものになるのです。そして、Revo氏自身も「公式の設定はなく、それぞれの思い描いたものがその人の答えである」というスタンスを貫いているので、こちらも安心して自分の想像を膨らますことができるのです。

チラリズムという言葉があります。
これは、「全部見せられるよりも少し見せられたほうが、残りの想像が膨らむ」といった期待感などをあらわします。全容がわからないからこそ燃える。そういった要素も、SHは含んでいると思います。

 内容を考察し、互いに議論しあうことによって、そこにある一種の連帯感が生まれます。そのような、聞く楽しさだけではない、考える楽しさ語る楽しさがあるということが、今日のSHの形をつくり、物語としての魅力を増しているものだと、私は考えます。
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【2008/03/23 12:58】 | SH雑記
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